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介護保険制度の持続可能性:オランダ・ドイツからの示唆 特別研究官 | 会計検査に関する調査研究 | 外部との交流活動 | 会計検査院 Board of Audit of Japan

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平成29年度海外行政実態調査報告書

介護保険制度の持続可能性:

オランダ・ドイツからの示唆

Sustainability of long-term care insurance system: Lessons from the Netherlands and Germany

特別研究官 中澤 克佳(東洋大学経済学部教授)

平成30年3月

(2)
(3)

目次

はじめに ... 1

1. オランダの介護保障 ... 3

1-1. オランダの介護保障制度と2015年改革 ... 3

1-2. 2015年改革の背景 ... 5

1-3. 2015年改革の特徴 ... 7

1-4. WMOの運営 ... 9

1-5. WMOシステムに対する疑問 ... 10

1-6. 小括 ... 12

2. ドイツの介護保障1:ドイツの高齢化と介護の課題 ... 14

3. ドイツの介護保障2:介護保険制度と制度改革について ... 17

3-1. ドイツの介護保障制度と2017年改革 ... 17

3-2. ドイツの介護保険財政 ... 20

3-3. 要介護度別の給付水準と「補完性の原則」 ... 23

3-4. 施設介護の問題と介護サービス・価格の地域差 ... 27

4. ドイツの介護保障3:介護扶助制度 ... 31

4-1. 介護扶助制度とは ... 31

4-2. 2017年改革と介護扶助 ... 32

4-3. 介護扶助の認定と財源問題 ... 33

5. ドイツの介護保障4:介護金庫の役割と機能 ... 35

5-1. AOK北東支部 ... 35

5-2. 窓口における相談業務 ... 36

5-3. AOKの今後の課題 ... 38

6. 日本への示唆 ... 40

参考文献・資料 ... 43

(4)
(5)

1

はじめに

多くの先進国では,高齢化の進展は大きな社会・経済・財政上の問題となっており,その

中でも日本は特に高齢化率が進んだ状況にある。日本は2000年に公的介護保険制度を導入

しており,日本の介護保険制度は,以下で述べるいくつかの特徴を有している。

1. 要介護認定:要支援1から要介護5までの7段階の認定によって,幅広く高齢

者の介護をカバーしている。

2. 利用者の選択可能性の保障:要介護認定を受けた高齢者は,認められる範囲内で

自由にサービス内容・事業者を選択できる。

3. 社会保険制度:介護保険は40歳以上の人が対象で,その所得に応じて保険料を

徴収し,財源としているが,保険料収入は介護保険給付費の50%に過ぎず,残

りの50%は国及び地方自治体が負担。

4. 地域保険制度:65 歳以上の高齢者の保険料負担は,保険者(市町村)単位で決

定され,各保険者の介護給付に応じて変動する。保険料は 3 年間ごとに見直さ

れる。

5. 自己負担:利用者の自己負担は原則費用の1割で,一部高所得者は2割負担。

6. 現物給付:介護保険給付は,直接的な介護サービスの提供により,家族介護に対

する現金給付制度はない。

7. サービス供給:介護サービスの供給主体のほとんどは民間事業者であり,法律で

定められたサービスを,定められた金額で提供することで,介護保険からの支払

を受けられる。

日本の介護保険制度は,予防的介護の段階から,一人では日常動作が不可能な重篤な段階

まで,広範囲な高齢者をカバーしている。そのため,高齢者の増加に伴って,介護給付費は

増加を続けている。制度が始まった2000年から 2014年にかけて,介護給付費総額は3.6

兆円から9.6兆円まで増加しており,更に2025年には,約800万人が75歳以上(日本で

は「後期高齢者」と呼ぶ)になるため,介護給付費はさらに加速することが予想される。

以上の背景を受けて,日本では,介護保険制度の持続可能性が問題視されている。核家族

化の進展や高齢単身世帯の増加を受けて,家族がいない,もしくは家族と同居で介護を受け

ることができない要介護認定者が増加している。さらに,日本ではドイツと異なり家族介護

や近隣介護をサポートする現金給付は存在していない。公的介護保険によるサービスの拡

大は,保険料の値上げや政府の財政負担を増大させることになる。特に,日本の介護保険制

度は地域保険であるため,介護保険料の地域間格差が非常に大きい。2015年度から2017年

度の第一号被保険者(65歳以上)の介護保険料の最大値は,月額8,686円となっている。

(6)

2 体)では,保険料を値上げできる余地は小さい。

公的な介護保障の持続可能性を考える上で,日本が介護保険制度を導入する際に参考と したドイツ及びドイツに先立って社会保険による介護保障を導入したオランダを訪問対象

国として選定した。特に,介護保険制度でカバーされる要介護者の基準,費用負担のあり方,

公的保険以外の高齢者ケアの仕組みについてヒアリングを行った。

本報告書では,オランダ・ドイツの実態調査を踏まえた介護保険制度のあり方を考察する。

オランダは医療保障と一体の介護保障を提供している。ドイツは公的扶助と介護保険が車

の両輪として機能しており,さらに家族介護者・近隣介護者への現金給付が認められている

という特徴を持つ。いずれの国も,単に介護保障を提供するだけではなく,高齢者の生活保

障という大きなテーマの一環として介護保障が位置づけられており,介護保険制度はその

一部として組み込まれている。このような機能分担のあり方は,日本の介護保障のあり方に

対して大きな示唆を与えてくれるであろう。一方で,いずれの国も増加する要介護者に対す

る給付の増大や介護福祉員の確保など,日本と同様の問題に直面している。これら問題への

対処もまた,参考にすべき部分が多い。

(7)

3

1.

オランダの介護保障

1

1-1. オランダの介護保障制度と2015年改革

オランダの介護保障を論じる上で重要なのは,2015年に行われた制度改革である。本節

では,オランダの介護保障制度の概観と,2015年改革の特徴について説明を行う。

オランダの介護保障制度は,社会保険制度を中心に整備されている。具体的には,特別医

療費保険(Algemene Wet Bijzondere Ziektekosten: AWBZ)が1968年に施行され,介護

保障の核となってきた。オランダの介護保障制度は,医療保険制度と連動した運用がなされ

ているため,ここでは医療保険制度も含めて説明を行う。大森(2011)によれば,オランダの

公的医療・介護保障は大きく三つのCompartmentから成り立っている。Compartment 1

は長期医療・介護をカバーする公的保険であり,AWBZがこれに該当する。「長期」の定義

としては,概ね1年以上の医療・介護の必要性を指している。次に,Compartment 2は短

期の医療をカバーしており,根拠法は健康保険法(Zorgverzekeringswet: ZVW)である。

最後に,Compartment 3として,Compartment 2 でカバーされない自由診療にあたるサ ービスをカバーする保険である。

介護保障の観点から見ると,AWBZが在宅・施設介護サービスの多くをカバーしていた。

AWBZの総費用の対GDP比は,2000年の2.9%から2012年には 4.0%まで上昇している

(Dalsen 2016)。日本の場合,介護費用の対GDP比は,2000年で0.7%,2012年には1.8%

となっている(厚生労働省 2016)。上で述べたように,AWBZ は介護保障だけにとどまら

ないため単純な比較は困難であるが,AWBZ費用の対GDP比は大きい。後述するように,

2015年の制度改革の中心は,AWBZ中心の介護保障体制を,地方自治体が管轄する社会支

援法(Wet Maatschappelijke Ondersteuning: WMO)に基づく介護保障体制へと移管して

いくプロセスにあるといえる2。WMOは 2007 年に成立した。WMO は障害者や高齢者な

ど,社会参加に際して制限がある人々に対して,地方自治体の責任で施策を行うことを目的

としている。具体的な援助内容は,家事援助や買い物などのサービスの提供である。

2015年1月からスタートした新しい介護保障制度は,AWBZが集中的に対処していた介

護保障のうち,居宅サービス部分を WMO へ移管していったことである。AWBZ は WLZ

(Wet Langdurige Zorg)と名称を変更し,リハビリなど重度者の医療的な措置は医療保険

に移管し,施設ケアに対する給付に限定されることになる。WMOは,これまでAWBZが

1 高齢者の介護は,必ずしも介護保険制度のみで成立するものではない。後述するよう

に,オランダではWMOという自治体主体の居宅介護が行われており,ドイツでは介護扶

助(公的扶助)が大きな役割を果たしている。本稿では,介護に対する制度や施策を「介 護保障」と呼び,その中での介護保険でカバーされる部分を「介護保険」と呼ぶことにす る。

2 WMOは「社会支援法」という法律名であるが,社会支援法に基づくサービス供給体制

(8)

4

カバーしていた,在宅での介護サービスの大部分をカバーすることになった。後述するよう

に,WMO は地方自治体が実施主体となり,中央政府からの補助金と地方自治体の独自財

源,利用者の一部自己負担により運営がなされている。したがって,2015年改革は,介護

保障制度を社会保険を基にしたものから,地方自治体中心の,税財源を中心としたものへと

移行していったものである。図1-1は,2015年改革以前と以降の介護保障体制の変化を示

したものである。

図 1-1 オランダの介護保障体制の変化

(出典)デン・ハーグ市提供資料

以上の変化に伴い,財政的な負担も大きく変化した。図 1-2 は,2000年以降の ZVW,

AWBZ,WMOの歳出の対GDP比の変化である。

図 1-2 ZVW,AWBZ,WMO の歳出の対 GDP 比

(9)

5

図1-2より,2015年を境にAWBZの歳出が大きく減少し,一方で WMOが増加してい

ることがわかる。

1-2. 2015年改革の背景

オランダの総人口は約1,700万人であり,65歳以上人口が約300万人(18%),80歳以

上人口が70万人(4.2%)となっている。80歳以上の人々のうち,30.7%の人々が在宅で

介護を受けており,16.8%の人々が施設で介護を受けている。したがって,80歳以上の人々

のうち,47.5%の人々が何らかの形で介護を受けていることになる。日本の場合,厚生労働

省「平成27年度介護保険事業状況報告(年報)」より,2015年度の80歳以上の要介護(要

支援)認定者数は116万人となっており,これは80歳以上の第1号被保険者数 331万人

の35%となっている。オランダの方が,80歳以上の人々のうち,介護を受けている人々の

割合が高くなっている。これは,介護関係支出の対GDP比にも反映されており,オランダ

はOECD諸国の中でも介護関連支出対GDP比が高い(図1-3)。

図 1-3 介護関連支出の対 GDP 比の国際比較

(出典)OECD Health data 2016

図1-3で示されるように,オランダは2014年段階ですでにOECD諸国の中でも高い介

(10)

6

達する(210万人)と予測されている。オランダは移民等の流入が盛んな国ではあるが,少

子高齢化は確実に進行しているため,今後,介護を必要とする人々の増加が重要な問題とな

っている。現状でも高い介護給付を,何らかの形で抑制しつつ,介護保障を維持していく必

要に迫られていたといえよう。

高齢化の進展に伴う要介護者の増加に加えて,施設から在宅への転換,予防介護の推進と

いう流れが加速してきたことも,制度改革の要因となっている。保健・福祉・スポーツ担当

省の担当者によると,オランダでは,介護の必要度が高くないにもかかわらず,配偶者の死

去等をきっかけとして施設に入居するのが一般的であったと述べられている。しかし,現在

では重度と医学的に認められない限り入居できない。また,過去に整備されている軽度要介

護者向けの施設の老朽化等に伴って,施設入居に対して良いイメージを持たない高齢者も

増加してきているそうである。そして何より,なるべくこれまで住んできた地域・住宅で生

活を継続しつつ介護を受けたいという要望・願望も多くなってきている3。実際に,1980年

以降,施設ケアを受ける高齢者の人数は減少し続けている。図1-4は,オランダにおける施

設入居者数の推移を表したものである。

図 1-4 オランダにおける施設入居者数の推移

(出典)オランダ保健・福祉・スポーツ担当省提供資料

図1-4における棒線のうち左側の(高い)棒線は,80歳以上人口における施設入居者数

の割合を示している。1980年以降,一貫して減少してきていることがわかる。一方,折れ

3 もともと,オランダの介護保障体制に関しては,ウェイティング・リストが常に問題と

なっていた。大森(2006)によれば,2003年10月時点で,Home Careのうち,Home help

サービスを1単位受けるための平均待ち時間は128日,Basic helpに関しては218日,

Admission to assisted living and careでは375日,Admission to somatic nursing home

では197日となっている。軽度の要介護者向け施設サービスへのニーズは減少しているそ

(11)

7

線は,実線が80歳以上の高齢者数であり,破線がその予測値である。80歳以上人口は増加

し続けているが,80 歳以上人口に占める施設入居者割合は減少しており,施設から居宅へ

の移行が継続的に進んでいることがうかがえる。右側の(低い)棒線は,80 歳以上人口に

おける「重篤で常時介護が必要な人々」の割合であり,こちらは一貫してほぼ同水準で推移

している。繰り返しになるが,80歳以上人口は増加しているため,「重篤で常時介護が必要

な人々」は増加していることになる。このような人々を中心に施設介護を整備し,それ以外

の人々は基本的に居宅介護で対応するというのが,2015 年改革で行われたことである。

2015年改革では,24時間の介護を必要とする人々が施設介護を受ける際の条件となり,社

会保険であるAWBZ(WLZ)で給付が賄われることになった。一方で,居宅介護は自治体

の(補助金を含む)一般財源でカバーされるWMOに移管されることとなった。

1-3. 2015年改革の特徴

2015年改革およびそれ以前から断続的に行われていたオランダの介護保障改革は,以下

の三つの点を目的としている。

1. 介護関連支出対GDP比の減少

2. フォーマルケアとインフォーマルケアのバランスの改善

3. 個々の事情に配慮した,介護の質の改善

まず,2015年改革に先行して,2000年代半ばから家事援助サービス等をWMO(地方自

治体)へ移管していった。家事サービス等は,それ以前はケアを受ける人々全員に与えられ

た権利として扱われていたが,WMOへの移管に際して,家事サービスの援助は本人の能力

や家族・近隣・ボランティアの支援可能性等を自治体が勘案して,サービス給付を決定する

形に改められた。このような「査定とサービス決定の個別化」(「台所での対話」)によって,

2015年には家事サービス給付の40%を削減できた,ということである。また,要介護者と

会話を行うサービスも10%程度の削減が行われた。ヒアリングを行った保健・福祉・スポ

ーツ担当省の担当者は,以下のように述べている。

「市によって個々の査定というものが厳密に行われるようになりました。会話を通し て家族もしくは近所の人にやってもらえるのか,もしくは自己負担できる金銭を持っ

ているのかといったようなことまで,個別に細かく見られました。」

「例えば,週に6時間掃除をしてもらう権利があるというふうになっていましたが,

その「権利」を取っ払ってしまって,必要であれば給付されるものというふうに切り

(12)

8

間の権利があると,そういうふうな話し合いになっていましたが,切り替えた後は「台

所での対話」に持ち込んだので,自分でできることは何だろうというところを出発点 として話し合って,それができないのであればこちらから給付しようという,そうい

った考え方に変わっていきました。」

2015年改革では,増加し続ける介護関連給付を抑制するために,施設から居宅への転換

と,費用の削減を行ったと捉えることができる。その手段として,普遍的なサービス提供を

脱し,個別の事情に配慮したサービス給付を行うために,住民に近い行政主体である地方自

治体(WMO)に居宅サービスを査定する権限および財源を移管したと考えられよう。ヒア

リングに赴いたデン・ハーグ市の担当者も,” The help is custom made: the (individual) need for support is leading”と述べている。査定においては,本人の能力とニーズ,家族・

近隣・ボランティアによる支援可能性を勘案するという意味で,公的介護保障は補完的な役

割を果たす,という点が明確化された。すなわち,これまでの介護保障体制よりもフォーマ

ルケアの領域を減少させ,インフォーマルケアの領域を拡大させていると見なすこともで

きる。健康・福祉・スポーツ担当省の担当者によれば,改革前のオランダの介護保障制度は,

フォーマルな(公的な給付でカバーする)領域が広すぎる,という認識があったようである。

2015年改革の結果,大幅に介護関連費用は減少した(図1-5)。

図 1-5 政策実施前後の介護関連費用

(出典)オランダ保健・福祉・スポーツ担当省提供資料

図1-5において右肩上がりとなっている線は,2015年改革を行わず,高齢者の増加に伴

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9

一方で,2014年から下側に枝分かれしている線は,2015年改革以降の実績値と予測値であ

る。2015年改革の結果,介護関連費用が大幅に減少しているが,これは上で述べた家事サ

ービスや会話サービスを大幅に削減した結果である。

オランダの介護保障制度において,日本と大きく異なる点として,AWBZ(WLZ)におい

ては家族・近隣者のサービスに対して個人給付が可能になっている。しかし,AWBZ(WLZ)

における家族・近隣者への給付は,同じサービスを外部のヘルパーに委託した際の費用より

も多くかかっている。以前の制度ではこの点がアンタッチャブルになっていた。今回の改正

でWMOに該当する部分については,無料にすることを可能にした。

1-4. WMOの運営

AWBZは社会保険制度であり,そこから介護給付が行われていた。2015年改革によって,

在宅介護の多くが WMO に移管されるのに伴って,実施主体は地方自治体に委ねられるこ

とになった。当然ながら,その財源構造も変化した。

基本的には,中央政府からの補助金が地方自治体の基金に分配され,それに自治体の自主

財源を加えたものが WMO の財源となる。国の施策として重点化されているもの,例えば

移民の女性で,家庭内に留まっている女性は「隠された人たち」と呼ばれているが,彼女た

ちの社会進出を支援する費用は,特定財源として中央政府から配分されている。一方で,

WMO の介護費用などの中央政府からの補助金の配分は,日本の普通交付税の配分を念頭

に置くと理解しやすい。測定単位(低所得者人口や高齢化率など)と単位費用に応じて,中

央政府から地方自治体への分配金額が決定される。これら分配金は一括で,一般財源として

配分されることになる。中央政府から地方自治体へ配分されるWMO関連の資金は,2015

年改革以前のAWBZにおける介護給付に準じている。ただし,先に述べた家事援助や会話

サービス等の,過去の介護給付ではカバーされていたが,WMO(地方自治体)への移管に

伴って「個別化,効率化」された部分を除いた金額が配分されている。その後はパラメータ

(測定単位)の変化に応じて配分額が変化している。中央政府(オランダ保健・福祉・スポ

ーツ担当省)の認識としては,配分された費用で基礎的な給付はカバーされているとのこと

である。

地方自治体は法の範囲と議会の決定に基づいて,配分された一般財源と自主財源を各種

施策に配分していく。したがって,必ずしも中央政府の配分(の基となった計算式に基づい

た配分結果)と,実際の各種施策に対する地方自治体の支出額が一致するというわけではな

い。地方自治体は各地域のニーズに応じて,議会の決定を通じて柔軟に支出を変化させるこ

とが可能である。さらに,投入している自主財源の量も,地方政府によって異なっている。

例えば,デン・ハーグ市の福祉関連支出(WMOにおける介護給付を含む)としては,独自

に700万ユーロを追加している。

(14)

10

差は,オランダにおいても問題視されてきているようである。この点については,ヒアリン

グ実施時点で成立が見込まれている連立政権において,全国一律とする方向性で議論が進 められるとの話を伺った。

AWBZ における介護給付は,認定に伴って自動的に権利(介護を受ける権利)が付与さ

れる。一方で,WMOにおける介護給付は,自治体が対象者の状況を査定し,何が補完でき

るのかを検討する,というのが大きな違いとなる。日本の介護保険制度では,要介護認定者

は認定された要介護度に応じてサービスを利用できる。もちろん,基準額を超過した場合は,

その分は全額自己負担となる。要介護認定に際しては,あくまで対象者の身体的・精神的な

介護の必要度のみが査定されることになっている。WMOにおける介護給付は,WMOが全

ての介護をカバーするのではなく,あくまで補完的な役割を果たすというのが大きな特徴 である。

したがって,純粋な身体的な介護の必要性が同じ個人であったとしても,家族介護や近隣

のサポートの有無,そして本人の要望によって,実際に提供される(利用できる)サービス

は異なってくるということである。デン・ハーグ市の担当者は,WMOにおける介護給付の

決定について,次のように述べている。

「最初に市が介護度を判定し,その人が何ができるのか,できないのかを見て,同時 にその人の周辺の人によって何が提供されるのかという,この二つを常に一緒に見て

いきます。」

1-5. WMOシステムに対する疑問

前節で説明したように,WMOの財源は中央政府から配分された一般財源と,地方自治体

の自主財源が中心となる。一方で,給付の決定に際しては,日本のように,ある要介護状態

に認定されれば,それに応じて自動的に支給限度額が設定されるのではなく,家族や近隣介

護の可能性,本人の要望を「台所での対話」を通じて把握し,補完的に給付を行うものとな っている。これらの財源と給付の決定プロセスを踏まえると,以下の疑問が生じる。

財源が地方自治体ごとに定額で与えられて,サービスのアレンジメントは地方自治体ご

とにある程度裁量的にという仕組みでは,WMOにおける介護給付を減少させて,余剰資金

を他の用途に用いるインセンティブが生じるのではないだろうか。さらに,個別にアレンジ

メントをするということは,受給者間でサービスの妥当性を比較するのが難しいというこ とになるため,例えば財政的に厳しい地方自治体がサービスを削るようなインセンティブ

がないのか,という疑問が生じる。また,日本の介護保険制度のように,全国一律の要介護

認定基準,給付内容が担保されているのではなく,個々の地方自治体で査定を行う場合は,

地域間のサービス格差というのも問題となってくるのではないだろうか。

(15)

11

当者ともに,非常に楽観的な見解であった。具体的には,議会や市民の声の圧力といった民

主主義的プロセスによって,適切に行政活動は監視されているという信頼感が基盤になっ

ている。もちろん,日本から訪れた研究者に対する回答である事を考慮すれば,ある程度「建

前」的な回答であることは否めないが,それを加味しても,市民や議会のチェック機能や意

思決定プロセスへの信頼感が強く表れていると感じられた。WMO における介護給付への

チェックは,具体的には以下のように分類される。

① 中央省庁による監査・介入

② 議会を通じた適正性のチェック・マスコミによるチェック

③ 市民代表(有識者・利害関係者)の団体によるチェック

④ 施設介護と居宅介護の分離

中央省庁による監査として,内務省による監査が存在している。内務省による監査は4年

ごとに 1 回行われており,中央政府から地方自治体への補助金の分配について,適切に行

われているのかをチェックしている。ただし,個々の地方自治体が「基金の分配でベーシッ

クな給付を満たせているか」をチェックしているわけではない。中央省庁による介入として

は,保健・福祉・スポーツ担当省による監査が存在している。こちらの監査は定期監査とい

う形ではなく,地方自治体において問題が生じた際に,省として強制性を持って介入するケ

ースが存在する。省による介入例として,南ホラント州カットワイク市(Katwijk)の事例

を紹介する。2015年改革の際に,カットワイク市では再査定を行わずに一方的にサービス

をカットする通知を送った。それは民主的なプロセスを経ていないということで,副大臣が

見直しを勧告し,最終的に介入を行って是正したというケースである。この事例説明を行っ

た保健・福祉・スポーツ担当省の担当者の意図としては,地方自治体の運営面で問題が生じ

た際には,中央省庁を通じて問題のチェックと是正が行われる,というものであったが,そ

れは逆に,地方自治体が恣意的にサービスをカットできるということを意味している。 議会を通じた適正性のチェックとは,基本的には選挙を通じた民主的メカニズムによっ

て,問題はチェックされ,是正されるというものである。市民の意向を無視して作為的な配

分を行った場合,そのような決定をした議員は選挙で落選するという説明を受けた。しかし

ながら,日本も含めた多くの実証分析において,公共支出が政治的な影響を受けていること

が明らかにされていること,選挙は必ずしもシングルイシューで争われるのではなく,「政

策の束」を選択しなければならないことなどを踏まえると,どこまで実効的なのかは疑問が

残った。ただし,このような感想を抱いたのは,民主主義的な政治システムや政治に対する

信頼感の差違から生じているものかもしれない。また,マスコミによって問題が報道され,

それが地方議会や国会で取り上げられるケースも多い。恣意的な配分によって問題が生じ た場合,それがマスコミを通じて問題化し,是正への圧力となることが期待されている。

(16)

12

に対して提言を行うものである。地方自治体には法に基づいて市議会にアドバイスを行う

機関が存在しており,そこには高齢者や障害者,受刑者などの代表者が所属し,サービスや

待遇が適切なものなのかをチェックし,市議会に提言する役割を果たしている。

最後に,施設介護と居宅介護の分離である。2015年改革以降,施設介護を受けるために

は常時(24 時間)の介護を必要とすることを要件としている。そして,そのアセスメント

はWLZが独自に行っており,そこで適格と認められれば施設介護サービスを受けることが

可能になる。すでに述べたように,WLZは地方自治体とは無関係に社会保険制度として運

営されている。WLZで適格認定を受けられなかった場合,改めてWMOにおける適格認定

を受けることになる。こちらもすでに述べたように,WMOにおける介護給付は地方自治体

ごとに異なっている。日本の介護保険制度では,介護保険施設への入居基準として要介護度

3以上というものが設けられたが,それ以外は居宅・施設の区別は行っていない。オランダ

では,重度と軽度,施設と居宅の選別において,財源も運営も異なる主体が査定を行うこと

で,居宅で生活可能な要介護者が施設に移行しないような仕組みを取っている。

1-6. 小括

オランダの介護保障制度を,主として 2015 年改革を中心にまとめてきた。本小節では,

そのまとめを行い,日本の介護保険制度と比較を行う。

まず,オランダの介護保障制度(2015年改革以降)をまとめる。2015年に行われたオラ

ンダの介護保障制度改革は,AWBZ における介護給付が増大し続けることに対する危機感

から遂行された。具体的には,費用の高い施設サービスから居宅サービスへの移行を行い,

それと同時に居宅サービスについては地方自治体が責任主体である WMOによって運営さ

れることとなった。このような介護サービスの分権化に伴って,これまで一律で給付が行わ

れていたサービス内容の見直しが行われ,個人の事情やニーズに沿った「補完的」給付へと

転換していった。その中で,家事サービスや対人会話サービス等が大幅に削減された。この

点については,「分権化に伴う効率化」がなされたという認識である。

社会保険制度であるAWBZ はWLZに移管され,主として重度要介護者をケアする施設

サービスに限定されることになった。施設サービスの費用は高いため,介護費用全体として

はWLZの方がWMOよりも高くなっている。しかしながら,WLZへの移行によって,カ

バーする範囲・費用は大幅に減少した。WLZは社会保険方式を維持し,適格認定も独自に

行っている。すでに述べたように,施設サービスを希望する場合はWLZの適格認定を受け

なければならず,それは個別自治体の状況とは無関係である。

WMO における介護給付は,中央政府から配分された一般財源と地方自治体の自主財源

によって賄われている。地方自治体に権限を移譲するということは,より住民に近い地方自

治体が個々の住民の状況やニーズを適切に把握し,それぞれに応じたサービスを決定する

(17)

13

に認定や給付が異なる事は当然であり,それが法の範囲内であり,地方議会の決定に基づく

ものであれば,問題とは見なされない。WMOの財源を配分する中央省庁の見解は,配分さ

れた資金で「最低限のニーズ」は満たされているはずであり,地方自治体が追加的に自主財

源を投入することは地方自治体が地域の実情に応じた裁量性の発揮であるというものであ

る。また,地方自治体が効率化によって配分された資金より少ない費用で運営を行ったとし

ても,それが法の範囲内であり,地方議会の決定に基づくものであれば,問題とは見なされ

ない。手続き上の問題があれば,中央省庁より介入がなされる場合もあるが,基本的には地

方自治体の民主主義的プロセスによって調整されるべきであると考えられており,また,現

在のところ大きな問題は生じていないという認識である。

オランダの介護保障改革は,日本の今後の介護保障に対して大きな示唆を与えるものと

なっている。なぜならば,日本においても「施設から在宅へ」という流れが進展しており,

さらに地方自治体(市町村)を中心として軽度在宅ケアを推進する地域密着型の介護が進行

しているからである。しかしながら,日本の介護保険制度は,オランダの介護制度改革と逆

の方向性を志向している。すなわち,インフォーマルな家庭内介護の重圧から介護者(主た

る介護者である女性)を解放し,福祉の社会化を行うことを目指している。したがって,介

護保険制度で包括的な介護サービスを提供することを目指している。つまり,介護保険制度

でカバーされる範囲が非常に広く,インフォーマルサービスを可能な限りフォーマルサー

ビス化することを志向しているのである。それ故に,介護保険給付費は増加し,保険料も上

昇することになる。在宅で介護を受ける場合に,そのケアを誰に・どこまで求めるべきかと

いう論点は,今後大きな争点になるであろう。

日本の介護保険制度は,保険者(市町村または複数市町村の広域連合等)によって運営さ

れている。65 歳以上の第一号被保険者の保険料は,その保険者における介護保険の利用状

況と連動している。このような説明を踏まえると,日本の介護保険制度は「分権化」されて

いるように見える。しかしながら,制度上,オランダの WMO のような分権化されたもの

ではない。日本の場合,要介護認定に関しては全国一律の基準に従って評価される。また,

家族介護や近隣介護といったインフォーマルな事情は評価の対象ではない。原則的には居

住している自治体や家族関係等にかかわらず,同じ状態であれば同じ要介護認定を受け,そ

の支給限度額の範囲内でサービスを選択することができる。要介護認定における市町村の

裁量性が制度上認められていないにもかかわらず,保険料負担に関しては,地域における負

担と連動することになっている。(社会)保険として運用することを考慮すれば,規模が大

きい方が安定する上に,保険料の格差も生じない。より住民に近い行政主体が認定を行った

方が「効率的」であるとするならば,全国一律の(裁量性のない)要介護認定を市町村が行

うことの意味は薄いと考える。そういった意味では,全国レベルの保険で高コストかつ重度

の要介護者の施設ケアを賄うWLZと,地域に根ざした居宅介護を住民に最も近い地方自治

体が主体的に行い,最低限の財源保障を中央政府が行う WMO という役割分担は,参考に

(18)

14

2.

ドイツの介護保障

1

:ドイツの高齢化と介護の課題

2015年12月31日時点でのドイツの総人口は8,220万人となっている。これは2011年

の人口に比べて200万人増となっている。人口減少局面に突入した日本とは,この点が大

きく異なっている。女性1人当たりの出生率は1.4人になっており,低出生率で少子化傾

向であるのは日本と同じであるが,人口が増加し続けているのは,後述するように移民政

策の影響が大きい。男性の平均寿命(余命)が78.2歳,女性の平均寿命が83.1歳となっ

ている。この平均寿命と人口規模は2030年まではおそらく変わらずに維持されるであろ

うと予想されている。つまり,人口の縮減は2030年までは起こらないと考えられてい

る。

出生率は低いが自然人口減にならない理由は,ドイツは移民の受け入れを進めているか

らである。この移民で増加している部分のかなりの部分が難民でもある。過去2年間は特

にそういう状況であった4。ただし,人口減少局面には突入しないが,全体としては高齢化

が進んでいるということに留意する必要がある。現在,急速に増大している年齢層が80

歳以上の人々である。80歳以上の年齢グループが2013年には全国民の5%,2030年には

8%に増え,2060年には16%に上昇することが見込まれている。その次の年齢グループで

ある65歳~79歳は2013年にすでに15%を占めており,2030年には20%と予想されて

いる。以上の人口動態より,2030年から35年あたりを目途として,ドイツ国民の3分の

1が60歳以上の人口構成になるということが見込まれている。以上をまとめると,ドイツ

は低出生率であるが,移民を受け入れることで人口減少には至らない。しかし,人口動態 を見ると高齢化は進むと予測されている。

国全体で見ると以上のような人口動態となるが,地域間では人口動態は大きく異なる。 特に,旧東ドイツと旧西ドイツの州間で,高齢化の進展や人口減少の度合いが異なってい る。ドイツにおいては,特に旧東ドイツ地域を中心として過疎化が進んでいる。人口流出 が起きており,地方部から都市部に人口が流入しているという状況を反映している。地方 部において高齢者が取り残されていき,地方部の高齢化が非常に速いペースで進んでい る。この地方部において高齢者の自立した生活の継続が今後困難になっていく,すなわち 自治体側ができる介護も含めた生活のサポートが今後崩壊していくシナリオもあり得ると ドイツ連邦家庭・高齢者・女性・青年省の担当者は述べている。

ドイツ全体の人口動態を地域別に見た場合,ベルリン,ミュンヘン,フランクフルト, ハンブルク,ブレーメンのような都市部を見ると人口は増えているが,特に旧東ドイツ地 域を中心として地方部においては過疎化が急速に進んでおり,そのような地域における住 民の生活の維持,あるいは生活のサポートを維持していくことが難しくなってきていい る。学校の閉鎖も行われるようになってきた。ベルリンを除く旧東ドイツ地域,メクレン ブルク=フォアポンメルン州,テューリンゲン州,ザクセン=アンハルト州,ザクセン

(19)

15

州,ブランデンブルク州では,移民・難民の流入を受けてはいるが,それでも高齢化が進

んでいる。高齢化の動向を見ると,2013年は旧東ドイツ地域では24%だったが,2030年

には32%になるだろうと見込まれている。ベルリンを除いた旧東ドイツ地域の人口は

2013年の実績が1,250万人だが,2060年までに900万人に減少することが予想されてい

る。この中でも特に重要な部分が,人口動態上の生産年齢人口,すなわち20歳から64歳

までの人口が5,800万人から500万人に減ると見込まれていることである。すでに述べた

ように,ドイツ全体では人口規模が維持されるとの予測であるので,旧東西ドイツ州間の 人口および高齢化率の格差は拡大していくということになる。ドイツは連邦制国家である ため,州の権限が非常に強い。しかし,今後,州間の格差が拡大していく中で,旧東ドイ ツ地域の自治体を支えていくことができるのかという点について議論が進められていると のことである。

高齢化の進展に伴って,認知症患者の増加が見込まれており,介護において認知症患者

のケアをどのように行うのかが重要な課題となってきている。後述する,2017年に実施さ

れた介護保険改革では,認知症患者を介護保険の体系にどのように取り込むかに焦点があ

てられている。ドイツにおける認知症患者数の推定値は160万人であるが,2050年には

300万人まで増加することが見込まれている。ドイツにおいては,連邦保健省と市民社会

の様々な団体が共同して,認知症患者のためのアライアンスという組織が起ち上がってい る。このアライアンスは,自治体や州政府そしてそのほかの様々な市民団体の代表者が参 加し,さまざまな措置を考案し,実施していく団体である。このアライアンスが行ってい る措置の中に,地域における人のネットワークの強化というものが存在している。それ は,認知症患者と患者の家族が地域のネットワークからのサポートを必要としているとい

うことを意味している。現在,500ぐらいのローカルアライアンスが創られている。

認知症患者はなるべく在宅の介護が行われるよう,なるべく在宅にとどまることができ るように必要な地域のネットワークを拡充したり,相談サービスを提供したりということ とが課題となっている。増加する認知症患者を含めた要介護認定者を,施設ではなく,な るべく地域(居宅)で介護をしつつ生活を継続していくことが重要な課題であり,そのた めに地域においてどのようなサポートが可能であるか,そして介護保険制度をはじめとし て,どのようなフォーマル・インフォーマルな介護保障体制を築くことができるのかが課 題である。

その一端として,認知症患者についてどのように介護保険で扱っていくのかということ

に関して2017年に介護保険制度改革が行われたが,その際の認知症患者の介護保険制度

への統合ということについては,ドイツがむしろ日本から学んでいると,ドイツ連邦家 庭・高齢者・女性・青年省の担当者(当時はドイツ連邦保健省で介護保険改革を担当して いた)は述べていたのが印象的であった。高齢化の進展や人口減少,そして地域間の人口

5 ドイツ連邦家庭・高齢者・女性・青年省の担当者は,20歳から64歳の人口と説明を行

(20)

16

(21)

17

3.

ドイツの介護保障

2

:介護保険制度と制度改革について

3-1. ドイツの介護保障制度と2017年改革

社会保険制度を中心に運営されているドイツの公的介護保障制度は,それを参考に導入

された日本の介護保険制度と比べて,介護認定の段階が少なく,認定の基準も高いことが指

摘されてきた。しかし,2017 年に改革が行われ,以前よりも段階が増えて 5 段階になり,

従来の認定者は 5 段階になる前の段階よりもほぼ上の階級に引き上げられるという形にな

った。この背景には,日本も同様に増加し続ける認知症患者への対応という課題が存在して

いる。

要介護度を3段階で評価をしていた当時は6,疾病金庫の中にある医療サービス(MDK)

が要介護認定を担当していた。要介護度が5段階に引き上げられた後も,引き続きこのMDK

が認定を担当している。具体的には,疾病金庫が共同で州ごとに設置しているMDKの審査

を経て,保険者である疾病金庫が認定を行う。

日本語では「要介護度」という言葉になるが,ドイツでは2017年改革までの要介護度を

「シュトゥーフェ」(英語では「ステップ」)と呼んでおり,2017年改革以降の要介護度を

「グラーデ」(英語では「グレード」)と呼称するようになった。つまり,2017年改革は,

単純に要介護度の認定段階を増やすというものではなく,要介護度の概念を変化させる試

みであった。2017年改革までの評価では,基本的には身体的な状態を基準に要介護度を評

価し認定していたが,2017年改革以降は要介護度「グレード」という概念を導入し,身体

的な状態では必ずしも見てとることができない,認知症のような精神的な部分の,あるいは

知的機能の部分を含んで評価する方式に変わった。身体的機能の程度だけではなく,認知症

も含めた精神・知的機能も含めた要介護の概念を導入することについては,15 年近く議論

がされてきており,前政権のときにこの認知症についても要介護度の認定基準に含めるこ

とが決まった7。

2017 年改革によって,認知症患者等が要介護認定のカテゴリーに入ったのであるが,

2017年改革以前も認知症患者等に対する公的介護が存在していなかったわけではない。ま

ずは身体的な状態を評価し,その後に認知症があるかないかを評価していた。認知症は一応

評価の基準にはなっていたのだが,まずは身体的な状態,そしてそのあとに認知症とその評

価が二つに分かれていた。身体的な介護の必要度が先に評価されていたということである。

2017年改革によって,身体と認知症の部分,すなわち知的な能力の部分の評価が一次,二

次ということではなく,同じランクの重要性を持つに至った。

6 3段階とされているが,実際にはより重度のケース(過酷ケース)と,身体的には介護

の必要性は薄いが,認知症を抱えている人々のカテゴリー(要介護度0)が存在してい

た。

(22)

18

2016 年から 2017年にかけて,それまでの要介護度のシュトゥーフェにあった人たちが

新しいグレードに移行することになった。その際には「認知症を抱える要介護認定者は2段

階レベルがアップする」という原則が適用された。つまり,2016年の終わりまでに要介護

度レベルがゼロで評価されていた人々,つまり認知症を抱えていたが,旧基準の介護保険の

要介護度1から3には入っていなかった人々が,2017年以降は要介護度2に変わったとい

うことになる。また,認知症患者でかつ身体的な状態が良くなかったがために,旧基準で要

介護度が3であった人は,2017年以降は5になった。

一方で,認知症がなく,身体的な状態のみで評価をされていた認定者は,新しい要介護度

が適用されたときにレベルが 1 上がることになる。したがって,旧基準において何らかの

シュトゥーフェに該当していた認定者は,新基準では上のグレードに上昇することになり,

旧基準で認定されていなかった認知症患者については,新基準で 2 グレード上の評価を受

けることになったのである。 2017年改革前後の要介護度を図示したのが図3-1である。

図 3-1 ドイツにおける要介護度の変化

(出典)筆者作成

図3-1における点線の矢印が,身体的な要介護状態にある人々の移行(シュトゥーフェか

らグラーデ)であり,実線の矢印が身体的機能に加えて認知症を抱えた要介護状態にある

人々の移行を示している。旧来の要介護度0から要介護度 3の人々は,新制度の要介護 2

(23)

19

では身体的な要介護度の評価が満たされていなかった,すなわち介護給付を受けることが

できなかった人々が認定されるようになったグレードである。この要介護1のグレードを,

ドイツ連邦保健省では非公式に「予防的介護度」の段階と呼んでいる。具体的には高齢者が

在宅でいられる期間,自立して生活できる期間をなるべく延ばすために,住居のさまざまな

インフラを変えていくということが必要になるレベルと考えている。各要介護度における

具体的な介護給付については3-3節の表 3-7で示しているが,新基準における要介護1の

給付内容・金額はかなり制限されたものとなっている。

2017年改革は,すでに述べたように,旧基準での認定者のグレードを引き上げただけで

はなく,旧基準では認定されていなかった人々も給付の対象となる。したがって,改革によ

って要介護認定者数は大幅に増加することとなった。表3-2,表 3-3は,2017年改革前後

での要介護認定者数の変化である。

表 3-2 2016 年 12 月 31 日時点での要介護認定者数(単位:人)

居宅 施設

要介護度 1 1,274,300 338,720 要介護度 2 546,027 290,064 要介護度 3 153,870 146,220 合計 1,914,197 775,004

(出典)ドイツ連邦保健省提供資料より筆者作成

表 3-3 2017 年 6 月 3 日時点での要介護認定者数(単位:人)

居宅 施設

要介護度 1 75,607 3,027 要介護度 2 1,211,569 191,811 要介護度 3 651,122 231,233 要介護度 4 280,731 222,075 要介護度 5 108,770 127,894 合計 2,372,799 776,040

(出典)ドイツ連邦保健省提供資料より筆者作成

2016年12月31日から2017年6月3日のおよそ半年間で,要介護認定者数はおよそ35

万人増加している。これは,増加率で示すと約 13%の増加である。居宅の場合は以前の要

介護度度1であった人々が全体の64.5%,そして要介護度2であった人々が27.7%を占め

ているので,両者を合わせて90%以上になる。これらの人々のうち,要介護度1であった

人が新しいグレードの2か3,そして要介護度2であった人が3か4に移行したというこ

(24)

20

が37.4%である。居宅と施設介護の両方を合わせた数は要介護度1が160万人,要介護度

2が80万人,要介護度3が30万人である。これらの人々がそれぞれの新基準の要介護度

に移行した。

注目すべきは,施設入居者は改革前後でわずか 1,036 人しか増加していないということ

である。オランダ同様,ドイツにおいても「施設から居宅へ」という介護の方向性が重視さ

れており,2017年改革によって介護保険でカバーされる人々が増加しても,そのほとんど

が居宅介護で吸収されていることがわかる。

3-2. ドイツの介護保険財政

ドイツは,介護保険については保険料で賄われており,保険料は労使折半の形式で徴収し

ている。2015年に第1回目の介護保険強化法が導入され,その結果として賃金の0.3%が

介護保険料の上乗せ分とされた。2017年以降の介護保険料は賃金の2.8%か2.9%で,第1

回目の介護強化法のときに0.3%引き上げられ,2017年の第2次介護強化法でさらに0.2%

引き上げられている。この 0.2%の引き上げは,2017 年改革によって要介護認定者が増加

することへの対応として導入されている。子どもの有無でその保険料率が異なっており,子

どものいない人が2.8%,子どものいる人は2.55%となっている。

引き上げられた分の0.1%については,すぐに支出に回さず2035年まで蓄えておくこと

が定められている。これは,2035年以降の介護保険支出に備えるための引当金として,手

を付けないことになっている。ドイツは賦課方式,すなわち現役の人たちが払った介護保険

料がそのまま支出に回っていく仕組みになっているので,今後支出が増加していくため,保

険給付が増えていくこと,そして保険料率の値上げが起こることが分かっているので,急激

な保険料率の値上げを避けるためにこの0.1%を基金化することになっている。保険料の引

き上げについては,ドイツ社会法典第11で3年ごとに支出と保険料による収入のバランス

を見直すという規定があり,支出だけではなく,インフレ率等も考慮して保険料率を適合さ

せることが示されている。

2017 年改革以降の介護保険財政データはまだ存在していないが,2016 年度までのデー

(25)

21

表 3-4 ドイツ介護保険財政の推移(単位:10 億ユーロ) 総収入 総支出 収支

バランス

流動性資金 運転資本と 準備義務

2002 16.98 17.36 -0.38 4.8 2.2

2003 16.86 17.56 -0.69 4.9 2.2

2004 16.87 17.70 -0.82 4.2 2.3

2005 17.49 17.88 -0.36 3.4 2.3

2006 18.49 18.03 0.45 3.5 2.3

2007 18.02 18.34 -0.32 3.2 2.3

2008 19.78 19.14 0.62 3.8 2.5

2009 21.31 20.33 0.99 4.8 2.6

2010 21.78 21.45 0.34 5.1 2.7

2011 22.24 21.93 0.31 5.4 2.8

2012 23.04 22.94 0.10 5.5 2.9

2013 24.96 24.33 0.63 6.2 3.1

2014 25.91 25.45 0.46 6.6 3.2

2015 30.69 29.01 1.68 8.3 3.5

2016 32.03 31.00 1.03 9.3 3.7

(出典)ドイツ連邦保健省提供資料より筆者作成

2008 年以降,ドイツの介護保険収支は黒字が続いており,2015年の第 1 次介護強化法

による保険料率引き上げによって,さらに収支バランスは黒字へと動いている。2017年改

革により30億ユーロ,その後20億ユーロ増加していくことを想定し,第2次介護強化法

による保険料率の引き上げが実施されている。

(26)

22

表 3-5 ドイツの介護保険給付費(単位:10 億ユーロ) 居宅 施設

2002 8.3 8.2

2003 8.2 8.4

2004 8.2 8.6

2005 8.2 8.7

2006 8.2 8.9

2007 8.4 9.1

2008 8.9 9.3

2009 9.6 9.8

2010 10.2 10.3

2011 10.4 10.5

2012 11.1 10.8

2013 12.3 10.9

2014 13.1 11.2

2015 14.6 12.1

2016 16.5 12.4

(出典)ドイツ連邦保健省提供資料より筆者作成

2000年代前半から後半にかけて,居宅サービス給付が抑えられていた一方で,施設サー

ビス給付が伸びてきていることがわかる。2010年代以降も,施設サービス給付費は増加し

ているものの,それ以上に大きく居宅サービス給付費が伸びている。このことからも,「施

設から居宅へ」という介護の方向性が重視されてきていることがうかがえる。

ドイツの介護給付費と日本の介護給付費の水準と変化を比較してみよう。もちろん,両国

では人口・高齢化率・要介護認定の基準や給付費が異なっているため,単純に比較すること

に大きな意味はない。しかしながら,両国における介護費用の大きさを大まかにつかむのに

は有用であろう。今回は1ユーロ130円として換算し,グラフを作成した。結果は図3-6で

(27)

23

図 3-6 介護給付費の比較(1 兆円)

(出典)ドイツ連邦保健省提供資料・厚生労働省資料より筆者作成

なお,2016年時点での両国の高齢者数を用いて計算すると,高齢者1万人あたりの介護

給付費は,日本が約30 億円,ドイツが約23億円となり,高齢者人口あたりで見ても,日

本の方が高くなる。

3-3. 要介護度別の給付水準と「補完性の原則」

ドイツの介護保険制度は「部分保険」であると指摘されている。すなわち,介護費用の一

部のみを介護給付として支え,私的保険や本人の資産,家族による負担も含めて介護費用を

賄うことが原則となっている。日本の介護保険制度が「介護からの家族の解放」を目的とし

ており,公的介護保険制度が介護のほとんどを占めているのとは対照的に,ドイツでは公的

介護保険における給付は限定的だと指摘されている。また,すでに述べたオランダの介護保

障制度では,ドイツ同様に親族・近隣介護を重視しているが,オランダの場合は親族介護等

の利用可能性を加味した上で,公的介護が「補完する」のに対し,ドイツでは公的介護で賄

えない部分を私的介護で「補完する」という形になっており,そのベクトルは異なっている

という印象を受ける。

また,家族や近隣介護によって補完するという目的上,家族や近隣介護者への現金給付が

制度に織り込まれている点も特徴的である。表3-7は,2017年改革以降の要介護度別の介

(28)

24

表 3-7 2017 年以降の要介護度別給付額

要介護度 1 要介護度 2 要介護度 3 要介護度 4 要介護度 5

介護手当(親族等介護者への給付・月額・ユーロ)

- 316 545 728 901 現物給付(月額・ユーロ)

- 689 1,298 1,612 1,995 レスパイトケア(介護者が休憩をとるために一定期間事業者または知り合いに介護 を有償で委託した場合,一定額まで償還を受けられる制度・最大年 6 週間・ユー ロ)

近親者

- 474 817.50 1,092 1,351.50 その他

- 1,612 1,612 1,612 1,612 短期ケア(入院後などに短期の介護を必要とする者へのケア・最大年 8 週間・ユー ロ)

- 1,612 1,612 1,612 1,612 夜間ケア(月額・ユーロ)

- 689 1,298 1,612 1,995 外来診療の救済額(月額・ユーロ)

125 125 125 125 125 高齢者グループホームへの補助(月額・ユーロ)

214 214 214 214 214 完全施設介護(月額・ユーロ)

125 770 1,262 1,775 2,005

(出典)ドイツ連邦保健省提供資料より筆者作成

給付費目については,この表以外にも住宅改修への補助や,福祉用具購入補助など,多岐

にわたっている。上記の表から明らかなように,親族や近隣介護者への現金給付や,家族介

護者が介護できない際に事業者サービスを購入する際の給付など,家族・近隣による介護サ

ービス供給をサポートする仕組みが内在されている。日本の場合,支給限度額の範囲内で介

護サービスの組み合わせを選択することになるが,ドイツの場合は,特定の状況になった際

の補助という形をとることが多い。

支給限度額を見てみると,最重度の要介護度 5 で施設介護を受けた場合,月額2,005ユ

(29)

25

る要介護度5の支給限度額は月額36万円であることを踏まえると,ドイツにおける給付水

準はかなり低いことがわかる。

ドイツ連邦保険省の担当者によると,実際の介護ニーズのどの程度が介護保険でカバー

できているのかという点については,不明確であるとのことである。居宅介護に関してはか

なりの部分が介護保険で賄うことができるが,施設サービスについては,施設ごとに費用は

異なっているため,費用が高い施設の場合,私的保険や自己負担,家族の連帯責任で賄うと

いうことになる。それでも不足する場合には,公的扶助によってカバーがされることになる。

さて,ドイツの介護保険制度の特徴として,表3-7でも示したように家族介護者や近隣介

護者(ボランティア等も含む)による介護に対して,介護保険からの現金給付が認められて

いる点が挙げられる。ただし,最重度の要介護度5でも,限度額は月額901ユーロとそこ

まで高いわけではない。日本では,インフォーマルな家族間でのケアに介護が委ねられてい

た経緯から,介護保険の導入に際して,家族介護者等への現金給付が組み込まれてこなかっ

た経緯がある。また,ドイツの現金給付は,要介護者の口座に振り込まれて,介護者に渡さ

れる仕組みとなっているが,これが適切に渡されているのかという疑問も残る。この問題は

二つの側面があり,一つは,介護者に対してきちんと現金給付が渡されているのかという問

題であり,もう一つは,現金給付を受け取っている介護者がきちんと介護を行っているのか

という問題である。以上の疑問について,ドイツ連邦保健省の担当者に伺った。

まず,家族の負担を減らすという意図は,当然ドイツにおいても存在している。もともと

在宅で介護を受けたいという人が 7 割と多数派であり,在宅の介護を強めなければならな

いという課題にも直面していた。そこで,介護をする家族の負担を減らすために,家族介護

時間法の改正を行った。介護休暇が2年間取れるようにし,そして 2年後に職場復帰がで

きるよう労働法を整備し,保証している。具体的には,2年間のうち6か月はフルタイムで

介護を行うことが認められ,残りの18か月については短時間労働を行いつつ介護を行うこ

とができる。この介護期間が終わった後,また正規のフルタイムに復帰するという,雇用関

係を維持する権利を労働者は有する。

また,10 日間の緊急短期介護が認められている。例えば親族が発作であったり,脳梗塞

であったりして動けなくなって,緊急に介護が必要になった場合に10日間,具体的には10

労働日になるので,週末を入れれば2週間,緊急短期介護休暇を取得することができる。そ

の2週間の賃金については,介護保険が支給する。その後,脳梗塞などを患った本人が要介

護になった場合,上で述べた介護休暇が2年間取得できる。6か月のフルタイム介護期間は

無給となり,18 か月間の短時間労働においても賃金は大幅に低下するおそれがある。そこ

で,生計を維持するのに不足する部分については,貸し付けを行う制度が実施されている。

しかし,実際に制度開始以降の2年半で,貸し付けを申請した人は800 人程度であり,本

制度は機能しているとは言いがたいと,ドイツ連邦家庭・高齢者・女性・青年省の担当者は

述べている。介護休暇を取得している人々は1年間で 6万人程度であり,緊急短期介護の

(30)

26

また,介護疲れが起きたときに,最大1年間と6週間の休暇を取って,その6週間の間

は介護金庫からスタッフを送り込むという形でサポートをしたりするというシステムを造

っている。つまり,ドイツでは家族介護者に対する介護休暇等のサポートや,介護保険制度

内でのレスパイトケアを利用することで,家族介護の負担を軽減することを目指している。

この背景には,日本以上に家庭内扶養が希薄なドイツにおいて,施設ではなく在宅で介護を

受けつつ生活する社会を実現するためには,介護主体である家族への金銭的・非金銭的対処

が必要である,という認識が存在するのではないだろうか。この認識は,近隣介護者等に対

する現金給付にも現れている。

現金給付の問題について,ドイツ連邦保険省の担当者は,介護者に対してきちんと現金給

付が行われているのかという問題については楽観的な見通しであった。

「きちんと手当を渡さないということがありますと,家族や友人が来てくれなくな ります。そういったメカニズムが働いて,手当はもちろん介護を受ける本人に振り込

まれますが,それはちゃんと介護をする人たちの手に渡っていると思います。」

ただし,担当者は同時に以下のコメントもしている。

「ただし,例えば600ユーロもらっているうちの実際に支払っているのは500ユー

ロで,100ユーロは自分の口座に残る,ということはあると思います。」

家族・近隣者への現金給付を要介護者が不正に着服するという可能性は,排除しきれない。

ただし,要介護者が給付を完全に着服してしまえば,そもそも家族・近隣者からの介護が受

けられなくなる上に,現金給付の限度額も低くなっていることから,大きな問題は生じては

いないという認識であった。どちらかといえば,後者の問題,すなわち現金給付を受け取っ

ている介護者がきちんと介護を行っているのかという問題の方が重要視されているという

印象を受けた。それを防ぐために,半年に1度,要介護度のグレードが高い人に対しては四

半期に 1 度の頻度で訪問調査を行うことで,要介護者が適切に介護を受けているのかをチ

ェックしている。

いずれにせよ,家族・近隣介護者への現金給付は,限度額が低くなっていることも含めて,

あくまで補完的な存在であると位置づけられているように思われる。また,実際の利用に際

しては,ある程度ルーズな部分があることを許容しているように思われる。それでも家族・ 近隣介護者への現金給付を行っているのは,単身高齢者が増加していく中で居宅で介護を

受けつつ生活を継続していくためには,家族のみならず近隣・ボランティア等の地域ネット

図 1-3 で示されるように,オランダは 2014 年段階ですでに OECD 諸国の中でも高い介 護関連支出対 GDP 比となっている。それに加えて, 2040 年には, 80 歳以上人口が 3 倍に

参照

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